日本では比較的数の多いミニチュアピンシャーとよく似た姿をしている犬。ドイツ生まれのピンシャーと違って、マンチェスター・テリアはイギリス原産、犬種名もイギリスの地方から付けられている。起源となった犬は、イギリスに古くからいたブラック・アンド・タン・テリア。
もともとは食物を狙うネズミ捕りのための猟犬として飼われてきたブラック・アンド・タン・テリアは、19世紀末頃には「ネズミ殺しゲーム」という娯楽のための犬として、飼育されるようになる。労働者階級の男たちなど貧しい人々の人気を集めていたこのゲームのために、足の速いウィペットやグレー・ハウンドを掛け合わせて生まれたのがマンチェスター・テリア。 ネズミ殺しゲームで優秀な成績をあげたマンチェスター・テリアは、ブラック・アンド・タン・テリアに代わってイギリス国内に広がっていった。しかし、19世紀末には先に禁止された闘犬同様、ネズミ殺しゲームも禁止となった。そして時代が進むと犬への断耳も禁止となり、勇ましい外見を好んで繁殖していたブリーダーの意欲も衰えて、マンチェスター・テリアの人気も衰えていった。
さらに、20世紀初頭には世界的に戦乱の時代を迎え、第二次世界大戦が終わった1946年にはブラック・アンド・タン・テリアは絶滅し、マンチェスターテリアもイギリス国内にはわずか11頭しか残っていなかった。 そこで、愛好家たちのイギリス・ケネル・クラブへの働きかけによって残っていた、マンチェスター・テリアの中で繁殖可能な数頭とイングリッシュ・トイ・テリアの交配が認められた。同時にアメリカから2頭のマンチェスター・テリアを輸入して復活の努力を重ねた。そうして、1952年に生まれたうちの1頭が1955年のドッグショー審査で、マンチェスターテリアの純粋な犬として認められることになった。

好奇心旺盛で活発、陽気で、活動的。そして聡明で献身的。

ブラック＆タン
ブラックの部分が多い傾向にあり、真っ黒に近い個体もいる。